CASE6
東側には道路を挟んで大きなマンションがあり、北側と南側にも家が隣接しているという立地条件のK邸。外部からの視線をいかに遮り、かつ効率のいい採光と通風を採り込むかという課題をクリアし、狭小住宅でありながらも開放感のある空間が広がります。自然素材を用いることで、さらに心地よい、やさしさに包まれた住まいです。
「キッチンは家のエンジン部分」と語る奥さまこだわりのキッチンは、たっての希望であったドイツのボーゲンボール社製のもの。そんなキッチンをさらに使い勝手のいいものとするために、カウンター脇にはキッチンのサイズに合わせた作り付けの収納が設置されています。キッチンに立つ奥さまの正面にリビング、配膳や片付けが行いやすい右側にダイニングを配置。文字通り、家の中心的な存在のスペースとなっています。
2階の洋室は構造上間仕切りのない開放的な空間。しかし年頃のお子さまのプライバシーを尊重するために、現在は大きな収納家具を間仕切りとして利用して二人のお子さま専用のスペースとして活用されています。将来お子さまが独立し、Oさまご夫婦だけの生活になった際には間仕切りはなくす予定だそうです。ライフスタイルの変化にあわせてフレキシブルに変化できるのもこの住まいの特徴の一つとなっています。あらわしの構造となっている天井を始め、床や梁には天然の無垢材が使用されるなど、天然素材を用いた温もりのある空間が広がっています。
居室内同様に、天然木を使った趣のある玄関扉を開けて玄関ホールに入ると、大きな鏡のある明るいスペースが目に映ります。トップライトの光を取り入れ、鏡に光を反射させることで、窓のない玄関ホールに明るさをもたらしています。
光を玄関へと導く鏡は、姿見として外出前の身だしなみを確認する時にも活躍していると言います。
1979年京都工芸繊維大学卒業。1992年長谷川設計事務所創立。1992年21世紀KOBEの住まいコンクール優秀作品賞、2006年E・家・くらし住まいの設計コンテスト優秀賞、2011年日事連建築賞奨励賞、2011年大阪ガス住宅設計アワード最優秀賞 受賞