CASE19
昔ながらの街並が残る情緒豊かな下町にある「House_TTN」は、親世帯とお子さまであるご姉妹の家族の3世帯が同居する住まい。ご姉妹が1ヶ月違いでご出産を迎えるのをきっかけに「それぞれに孤立して子育てするより、近いところで助け合える方が心強い」と計画されました。ライフスタイルの異なるご家族が暮らす多世帯住宅は「コモンデッキ」を通じて、それぞれのご家族がつながる住まいとなっています。
3世帯のご家族が暮らすこの住まいは「コモンデッキ」と呼ばれる半屋外の共用スペースが、それぞれの家をつなぐ役割を果たしています。この「コモンデッキ」を挟んで東西の2・3階にあるのが、子世帯であるご姉妹の住まいとなっています。ガラス張りの開放感あふれる空間は、それぞれの家をつなぐ“路地”のような存在で、お互いの家族が気軽に行き来できる開放性と、それぞれの家族のプライベートを保つ独立性をうまく生み出す空間となっています。
子世帯のご姉妹の住まいは、それぞれのライフスタイルに合わせた空間。西側は吹き抜けのある黒のフローリングがスタイリッシュな住まいに。そして「おもてなしが好き」という東側のご家族の住まいは、白木のパインウッドがナチュラルなものとなっています。片側の壁面の全体を使ったキッチンカウンターは、多くのお客さまが集まった時にも対応できるだけの大きさを誇ります。「コモンデッキ」からの光が柔らかく差し込む、開放的な空間となっています。
1階の大きなガラス面と2階の”鎧戸”(大型ルーバー)、ツインの建物という外観がおしゃれなショップを思わせる外観。親世帯である1階のスペースは通りに面した開放的な空間になっています。2階部分に設置された”鎧戸”はデザインだけでなく、光や風を調整する機能性を持ち合わせています。南面にあるこの”鎧戸”は開閉が可能。季節に合わせて角度を変えることが出来ます。
1966年東京都生まれ。1990〜1998年株式会社竹中工務店に勤務。1999年宮原建築設計室を設立し、同時に群馬大学工学部非常勤講師を勤める。数々のコンテストやコンクールで受賞をつづけ、多世帯の新しい住まい方を提案した「House_TTN」もまた、第3回World Architecture Community Awardを受賞し、世界的にも話題となる。家族の未来の住まい方を斬新な発想で提案し続けている。