CASE23
京都市北部の住宅地にあるM邸は斜傾地の角地にある石垣と雑木林に囲まれた敷地で、石垣の上には集合住宅が建っているという立地。施主のMさまの仕事場となっている工房を兼ね備えた住まいは、この立地条件をうまく活かしながらも外部からの視線を遮るように工夫がされています。ご家族のことを考え、エコウィルを採用。人と環境を大切にした住まいとなっています。
大きなウッドデッキのある中庭から明るい日差しがもたらされるリビング・ダイニング。建物を石垣から離して配置することで、斜面の上からの室内を見えないようにすると同時に、石垣が庭の一部であるかのような景観をつくり出しています。そのサッシを開くと一体化できるリビング・ダイニングには、ご家族がゆったりと並んで食事が出来る、大きなテーブルが設置されています。床に大理石を張ったダイニングスペースには、ガス温水床暖房が設置されており、夏はひんやりと涼しく、底冷えする京都の冬も暖かく過ごすことができます。
階段の踊り場の壁面にあるのは、住まいの竣工の記念にと、ご家族でつけられた手形。竣工当初、まだ生まれたばかりの末のお子さまの手形がないので「どうやってつけようか、今思案中です」とMさまも笑顔で語ります。踊り場から2階へとつづく階段は蹴上げ部分がなく、ここから1階の様子を見ることができます。また冬場には1階のガス温水床暖房の暖かさを2階に運んでくれるので、階段や廊下が寒くならないと言います。
2階の子供部屋は、ロフトのある開放的な空間。ロフト部分では2部屋ある子供部屋がつながっており、お子さまのお友だちが遊びにきた時などは、絶好の遊び場となっていると言います。そんなお子さまのために、とMさまが手作りされたのが、カラフルなボルダリングがつけられたクライミングウォール。たくさんの思い出をこの住まいでつくってもらいたい、と願うご両親からの素敵なプレゼントです。
1971年大阪府生まれ。1993年大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業。中嶋龍彦建築士事務所、一級建築士事務所アトリエ第5建築界を経て、2000年に一級建築事務所基本フォルムを設立。2008年に株式会社基本フォルムに改組。摂南大学理工学部建築学科非常勤講師など、教員としても活躍している。