CASE50
施主であるTさまご夫妻と奥様の妹さまが暮らす二世帯住宅であるT邸は、白を基調としたシンプルな外観。通りからつながる長いアプローチの先に建つ2階建ての家は、1階が和風モダン、2階が洋風スタイルとなっていて、それぞれの趣味を活かしたこだわりが、家の随所に現れています。エントランスでもある土間スペースは、トンボ玉の製作などをご趣味とする奥さまの陶房も併設。
Tさまのご趣味である茶道を愉しむための和室なども、素材にもこだわった自由な空間が広がります。
タイル敷きの土間スペースは、奥さまがトンボ玉細工の工房を開かれており、生徒さんたちが集まることも多く、ご家族だけではなく、皆さまの憩いのスペースになっています。玄関脇には、長野から取り寄せたという暖炉も設置されています。一角には、Tさまが是非に、とご要望された囲炉裏が置かれています。漆仕上げの柱や、珪藻土を使った壁など素材も吟味された、こだわりの空間が広がります。
洋風テイストの2階は、妹さまの居住スペース。ロフトやシーリングファンを備えた、明るく開放的な空間で、明るい陽光と心地よい風が吹き込みます。可動式の間仕切りのあるスタディスペースは、来客時にはゲストルームとしても使用されているとのこと。リビングやキッチン、そして洗面所の床には、ガス温水床暖房が設置されており、とても快適に過ごされています。Tさまの奥さまも「すごく心地よくて、1階の土間にも入れておくべきだった」とおっしゃるほど。
1階の奥にある和室は、茶道を嗜むご主人のご要望をかなえた空間。柿渋染の和紙が用いられており襖紙や、坪庭を眺めることのできる雪見障子に、贅沢な和の風情を感じることができます。用いられる素材を吟味しながらも、照明も間接照明を用いるなど、シンプルでムダのない空間設計は、「わびさび」を体現した和の心が見受けられます。
有限会社BOFアーキテクツ代表取締役所長。1963年大阪市生まれ。1986年関西大学工学部建築科卒業。1986年建築設計事務所 点デザインシステム勤務。2000年一級建築士事務所 ボクソン フィールド アーキテクツ設立。2003年有限会社BOFアーキテクツに法人化。