CASE54
神戸の港を遠くに望む小高い住宅地に佇むK邸は、高低差のある敷地を活かした住まい。外観、内装ともに打放しコンクリートの質感にプラスして、バランスよく白塗装された壁面、アクセントに用いた石材など、色彩を持たない意匠デザインは、住まいの名前の由来ともなっています。春には桜の花を愉しむことができる、緑豊かな借景をインテリアの一部として彩り入れるため、リビング・ダイニングの壁面は大きなガラス張りとなっています。
玄関エントランスにある一枚板は、長椅子がわりにここに座ってひと休みすることができます。ちょっとした来客の際には、ここで対応されることもあるのだとか。玄関から中庭の横を通って、リビング・ダイニングへ続く廊下は、お客さまのためのパブリックな動線。もうひとつ別に、玄関から入ると正面に見える扉があり、そこはKさまの寝室などのプライベートスペースにつづく動線となっています。「長期滞在されるお客さまも多いので、気兼ねなく過ごしてもらえるよう動線をわけてもらいました」と奥さま。
街路に立ち並ぶ樹木などの借景を、インテリアの一部として採り入れるため、リビング・ダイニングの道路側の壁面は、一面大きなガラス張りの開口に。ここで絶景ともいえる眺望を眺めながら、食事や団らん、お客さまなどとの会話を愉しめるようになっています。リビングの一角にはガス暖炉が設置されていますが、「薪の暖炉はメンテナンスが大変そうだったので、どうしようかと悩んだのですが、ガス暖炉なら手間も少なく、炎の暖かさを感じることができます」と奥さまはおっしゃいます。
玄関に近い場所にある、お客さま用の洗面・トイレは基本オープンドア。もちろん使用時にはドアを閉めますが、普段は扉を開け放って、インテリアの一部として活用されているとのこと。また、お客さまが気兼ねなくお使いになれるようにと、あえてリビング・ダイニングから遠くの玄関先に設置したとのことでした。
1953年大阪府生まれ。インテルナカガヤ、安藤忠雄建築研究所出向を経て1977年浜野デザイン事務所設立。1991年株式会社ハマノ・デザインに改組。2007年カイゴ・ハウス「第10回木材活用コンクール」インテリア・家具部門賞。2008年カイゴ・ハウス「住まいのインテリア コーディネーションコンテスト」 経済産業大臣賞。包にて「九州温泉旅館客室コンペティション2008in大川」優秀賞。峰山の家にて「トステム設計コンテスト」奨励賞。無彩色の箱Ⅱにて「エアスタイルコンテスト2008」優秀賞。2009年カイゴ・ハウスにて「リジェネレーション建築再生設計コンテスト」審査員特別色彩賞。