CASE56
港のある海をはるかに臨む、山の手の閑静な住宅街の一角にある「御影山手草屋根の家」は、屋根緑化を取り入れた住まい。断熱材の役割を果たす草屋根によって、一年を通じて快適な室内空間を創りだしています。また夏には、草屋根が持つ蒸散効果によって、周りの空気が冷やされることで、ヒートアイランド現象の抑制にも効果が期待出来ます。
北西面の屋根部分が草屋根となったI邸では、10年の歳月の中で、風で運ばれた草や奥さまが植えられたハーブで覆われています。その美しい緑の屋根は、アイボリーの外観に調和したナチュラルな風合いを醸し出しています。「季節によって、色んな花が咲き、ご近所の方からも『もうその花の咲く季節になったのね』とお声をかけていただきます」とおっしゃる奥さまは、その手入れを毎日楽しまれているのだそう。
無垢の木や珪藻土の壁といった、自然素材を多く用いたリビング・ダイニング。大きなサッシを開けると、デッキとつながるリビング・ダイニングは、風通しのよい、開放感あふれる吹抜けのある空間となっています。「シックハウス症候群などを考慮して、自然素材を使った住まいを希望していた」とおっしゃる奥さま。ご夫婦の趣味である家具を毎年買い足したり、奥さまのご趣味であるドライフラワーをディスプレイしたりするなど、日々の暮らしを楽しまれています。
パイン材を使ったオリジナルのキッチンは、使い勝手を考え、キッチン下の収納は、あえて扉を設けなかったのだそう。湿気を木が吸収してくれるため、若干濡れているお鍋や食器などを片付けても、きれいに乾いてくれると言います。また食器洗いの後などは、サッと拭くだけで、水分を木が吸収してくれるために、日々のお手入れもラクだと、奥さまはおっしゃいます。
1963年大阪府生まれ。1986年関西大学工学部建築学科卒業。株式会社タケツー入社。1997年3月株式会社タケツー退社。1998年10月一級建築士事務所YURI DESIGN設立。
草屋根住宅を中心に、医療施設、店舗などの新築、改装の設計を手掛ける。