CASE73
黒のルーバーと外観がひときわ目を引く「House Iw」は、築38年を経過したこれまでの家を建て替えた住まい。前面の道路幅の変更など、周辺環境が変わる可能性もあったので、それらの変化に影響を受けないプランが考えられたのだそう。人通りの多い道路側の開口には、半屋外となるアウターリビングを配置。ルーバーを取付けることで、外部からの視線を遮断しながらも、光や風、そして外の気配を感じられるようになっています。
大きな幹線道路近くのI邸ですが、リビング・ダイニング横に設けられた、高低差のあるアウターリビングが、外部と内部の緩衝帯となっていて、「家の中にいると、落ち着いていて外部からの視線も気になりません」と、奥さま。どこにいても2方向への視線の抜けを確保できるように意識してプランニングしているため、実際のスペースよりも、空間に広がりが感じられるようになっています。
1階が親世帯、2階が子世帯となったI邸ですが、中2階にあるスタディスペースは、ご家族みんなが使うことのできる共有スペース。限られたスペースの中には、机が造り付けられており、パソコンを使ったり、本を読んだりと、自分だけの時間を楽しむことができるスペースになっています。
玄関を入ってすぐの階段スペースは、それぞれの世帯をつなぐ共有スペース。このスペースと1階と2階のそれぞれの間仕切を閉めると、それぞれが独立した居住スペースになり、開けると階段を通じて、お互いの気配を感じることができるようになっています。
田口喜章/1970年岡山県生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業。貴志雅樹環境企画室などを経て、2006年一級建築士事務所スズメバチを共同設立。
合田彰宏/1976年兵庫県生まれ。大阪工業大学工学部建築学科卒業。貴志雅樹環境企画室を経て、2006年一級建築士事務所スズメバチを共同設立。