CASE92
大阪市阿倍野区にある「西光寺」は、間口が狭い、細長い敷地を活かした建物で、1階が寺院、2階が庫裏である住居部となっています。寺院や庫裡のほか、参道や梵鐘など、すべてが建物内に配置されており、それぞれ専用の出入口が設けられた寺院と庫裏は、敷地の中央に配置された中庭によって、空間が立体的に、ゆるやかにつながったものとなっています。
繁華街も近いロケーションという立地から、セキュリティ面に考慮して、すべてが建物の中に配置されたプランとなっている「西光寺」。1階専用の入口から続く長い参道の途中に、梵鐘が設置された中庭があり、さらに奥へ歩みを進めると、御本尊が安置されている内陣や外陣へと続きます。街中にありながら、喧噪から離れた心安まる場所となっています。
アプローチを上がった2階は、玄関が別になった完全分離の二世帯住居。子世帯のリビング・ダイニングは、ルーフテラスに面した開口から、明るい光や心地よい風がもたらされる、開放的で快適な空間が広がります。「キッチンに立って、リビングで遊ぶ子どもたちの姿や、ルーフテラスに広がる景色を眺める時が、一番幸せですね」と、奥さまは微笑みます。
リビングで過ごすことが多い二人のお子さまたちの専用スペースは、お互いに行き来が自由にできる間仕切のない広々とした空間。将来的に、お互いのプライバシーを尊重するための空間として活用できるように、間仕切壁を設置することができるようになっています。
1965年大阪市生まれ。1978年京都工芸繊維大学住環境学科卒業。1987年西?建築事務所設立。1996年株式会社コンパス建築工房に改組。2001年〜京都工芸繊維大学非常勤講師。