窓のない白のファサードがスタイリッシュな「はつが野の家」は、大阪府南部の住宅地の中でも、そのフォルムがひときわ際立っています。約2mの高低差と三方を隣家に囲まれる立地条件から、建物を奥に配置すると同時に、外部からの視線を意識させない工夫がされています。ご自宅でお菓子やお料理の教室を開いている奥さまのご要望により、キッチンが住まいの中心となっています。
所在地/大阪府
家族構成/夫婦+お子さま2人
計画/堀部直子建築設計事務所 堀部直子
構造・規模/木造・地上2階
敷地面積/192.00m2
建築面積/53.83m2
延床面積/86.38m2
設計期間/2009年2月〜2009年10月
施工期間/2009年11月〜2010年4月
- 堀部直子(ほりべなおこ)さん
- 1972年大阪府生まれ。1995年近畿大学理工学部工学部卒業。設計事務所勤務を経て、2003年堀部直子建築設計事務所設立。2009年より摂南大学非常勤講師。2012年より近畿大学非常勤講師。2010年グッドデザイン賞、「阪南の戸建分譲住宅PJ」設計提案最優秀賞、2012年JIA関西建築家新人賞ほか受賞多数。
- ■堀部直子建築設計事務所
中庭を囲んで、回遊動線で結ばれている室内の中心はキッチン。このアイランドタイプのキッチンからは、左右に配置されているリビングとダイニング、そして中庭を介して玄関エントランスや2階のバルコニーなどを見渡せます。ご自宅でお菓子やお料理の教室を開いている奥さまが、一番過ごす時間の長いキッチンは、中庭からの光によって、明るく居心地よい空間となっています。そしてキッチンに立ちながら、お客さまと会話をかわすことや、リビングで遊んでいるお子さまの様子を見守ることもできます。教室に訪れる方もその居心地のよさに「家に帰りたくない」という声が上がるほどです。
お菓子やお料理の教室で使われているアイランドキッチンは、回遊性もあり、多くの人数で囲みながらの作業も可能。ガスコンロは同時調理が可能な4つ口コンロ。
まだ小さなお子さまがいつも遊んでいるリビングは、吹き抜けのある開放的な空間。中庭からの光と風を採り入れると同時に、吹抜け上部の窓からも採光できるようになっています。またキッチンを挟んで対面に位置するダイニングも、壁面の飾り棚の上部に窓を設けることで光を採り入れながらも、外部からの視線を気にせず生活できるように考慮されています。
ワンフロアの間仕切りのない広々とした空間でありながらも、キッチンを中心に配置することで、憩いの場であるリビング、そして会話や食事を楽しむ場であるダイニングというように、空間にリズムが生まれます。
吹き抜けのある開放的なリビングスペース。窓の位置を工夫し、外部からの視線を遮る工夫も。