南海トラフ巨大地震の対策ガイド!命を守るために家庭でできる5つの優先行動
編集者:【大阪ガス】Daigasコラム編集部
南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に60〜90%程度以上の確率で発生すると予測されており、私たちが直面する可能性がきわめて高い地震です。
被害が大きくなると想定されているため、政府や自治体は、一人ひとりが主体的に行動し備える重要性を呼びかけています。
この記事では、家庭で取り組むべき優先順位の高い5つの行動を具体的に解説します。また、臨時情報が発表された際の対応手順も紹介しますので、対策の参考にしてみてください。
南海トラフ地震の特徴と必要な対策の全体像

南海トラフ巨大地震は被害が桁違いに大きくなると想定されており、国も特別な計画を立てて対策を進めています。ここでは、南海トラフ巨大地震に関して次の内容を解説します。
- 国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画
- 2025年7月時点の被害想定と最新の発生確率
- 国や自治体だけでなく個人でも自主的な対策が必要
それぞれの内容について見ていきましょう。
国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画
「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」は、2014年に国が策定した総合的な防災を目的とした指針です。2025年(令和7年)には大規模な見なおしがおこなわれ、おもに4つのポイントが追加・変更されました。
| 見なおし項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| ①「命をつなぐ」対策の追加 | 避難後の生活継続も重視 |
| ②避難所環境の国際基準化 | 避難所の環境改善のため、災害支援の国際基準「スフィア基準」に変更 |
| ③物資輸送体制の強化 | キッチンカーやトレーラーハウス合わせて1,000台を全国に配置する目標を設定 |
| ④孤立集落対策の強化 | ヘリコプターやドローンを活用した緊急支援ルートの確保・整備 |
能登半島地震で多発した災害関連死や、道路寸断による物資輸送の停滞などを背景に、国の計画も日々見なおされています。最新動向を理解し、家庭でも災害に向けて備えることが大切です。
2025年7月時点の被害想定と最新の発生確率
南海トラフ巨大地震がもたらす被害の規模を、具体的な数字で理解しましょう。内閣府が公表している被害想定(2025年7月時点)は、以下のとおりです。
- 死者数:約29.8万人
- 負傷者数:約95.2万人
- 建物被害に遭う人口:約1,230万人
- 災害関連死:約2.6〜5.2万人
また、2025年9月時点での発生確率は60%〜90%以上程度と非常に高い数値です。被害想定のデータを認識し、備えの重要性をあらためて確認しましょう。
国や自治体だけでなく個人でも自主的な対策が必要
大規模な災害が発生した場合、消防や自衛隊、行政などの救助や支援には限界があります。多くの道路が寸断され、通信環境が悪化するため、支援が手元へ届くまで1週間以上かかる可能性も少なくありません。
「自らの命は自らが守る」という危機管理の意識が大切になります。支援が届くまで生き抜くために家庭での主体的な対策が欠かせません。
【5つの優先行動】家庭でできる南海トラフ地震対策

南海トラフ巨大地震への備えは主体的な行動が不可欠です。ここでは、家庭で優先して取り組むべき5つの行動を紹介します。
- 行動1:家具の転倒防止対策を講じる
- 行動2:1週間分の備蓄を用意する
- 行動3:自宅の耐震性を確認・強化する
- 行動4:非常用持ち出しバッグは家族仕様で準備する
- 行動5:避難ルートと連絡手段を事前確認する
これらの行動からはじめて、万が一の事態に備えましょう。
行動1:家具の転倒防止対策を講じる

地震対策の第一歩は、家の中での安全確保です。大きな揺れが発生した際、家具の転倒や落下による被害が起こりやすくなります。
国の「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」でも、家具の転倒・落下防止の強化は取り組むべき対策のひとつとされています。
大きな家具に固定器具を設置する
食器棚や本棚、冷蔵庫など背の高い家具は、震度5強以上の揺れで転倒する危険性が高まります。以下のような固定器具を活用して、家具が倒れないように対策を講じてください。
- 壁にネジで固定するL字金具
- 天井との間に設置する突っぱりポール
- 家具の下に敷くストッパー
家具などの転倒防止実施率が現状の約35.9%から100%に引き上げられると、死者数は約5,300人から約1,800人まで大幅に減少できる見込みです。
参考:内閣府|南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ報告書 説明資料
家具が倒れても避難経路を確保できる配置にする
家具の配置を見なおした避難経路の確保は、賃貸住宅などで壁に穴をあけられず、家具の固定が難しい場合に有効です。
たとえば、次のような配置の見なおしで被害を減らせます。
| 配置の見なおし | 具体例 |
|---|---|
| 倒れた場合を考えて位置を工夫する | ベッドの上に倒れてこないようにタンスなどの位置や向きを変える |
| 安全な空間を確保する | 出入口や廊下など避難の通り道に倒れやすい家具を置かない |
固定器具の設置だけでなく、コストをかけない防災対策でも安全性は向上できます。
行動2:1週間分の備蓄を用意する
防災備蓄の用意は、最低3日分から可能であれば1週間分が推奨されています。南海トラフ巨大地震のような広域災害では、物流が完全に停止し、支援が届くまで1週間以上かかる事態が想定されるためです。
ここでは防災備蓄の用意について解説します。
ローリングストック法で備蓄を管理する
ローリングストック法とは、普段から少し多めに食料品を買い置きし、賞味期限が古い日付の物から消費し、使った分だけを補充する方法です。災害時に食べるときに賞味期限が切れている事態を回避できます。
日常的に食べ慣れた食料品で備蓄が管理でき、災害時にも食生活が大きく変わらずにすむ点は、ストレスの軽減や精神的な安定につながります。
水・食料を確保する
水や食料は命をつなぐために、生活を継続できる量の確保が欠かせません。具体的な備蓄量の目安や内容は、以下のとおりです。
| 項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 水 | 1人あたり
・1日3リットル ・1週間21リットル |
|
| 食料 | 1週間分 |
|
命を守るためにも家族の人数に合わせて準備しましょう。
エネファームなど電気の備蓄機能がある設備を導入する
避難せず自宅で待機する状況に備えて「電気」を備蓄する準備も重要です。たとえば家庭用燃料電池のエネファームなどは、停電時でも発電できる機能を備えているタイプもあります。
南海トラフ巨大地震では長期間の停電も想定されており、電源を確保できるかどうかは自宅での生活環境を大きく左右します。
電気を確保できれば、照明や暖房器具の使用、スマホの充電が可能です。また、家族の健康維持に役立ち、地震に関する最新情報も入手できます。
行動3:自宅の耐震性を確認・強化する

地震による被害で大部分を占めるのは、住宅の倒壊です。国の防災対策においても、建物の耐震化は被害を大幅に軽減する上で重要な対策と位置づけられています。
ここでは、耐震性の確認・強化について解説します。
耐震診断を受けて改修の必要性を判断する
自宅がどの程度の地震にたえられるのかを把握するためには、「耐震診断」の受診が必要です。
住宅の耐震化率を90%から100%に引き上げると、全壊棟数を約127.9万棟から約35.9万棟へと減少できるという試算があります。また、旧耐震基準で建てられた木造住宅は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があり注意が必要です。
耐震診断を受ければ、倒壊リスクを客観的に把握し、改修の必要性を判断できます。
参考:
補助制度を活用して耐震改修を実施する
耐震診断で改修が必要と判断された場合、費用が課題となりかねません。そのため、国や多くの自治体では、補助制度を設けて改修を支援しています。
たとえば高知県では、旧耐震基準で建てられた住宅を対象に、以下のような補助制度を設けています。(2025年9月時点)
- 耐震診断:自己負担3,000円以内
- 耐震設計: 補助金20.5万円
- 耐震改修::補助金100万円
制度の有無や内容は自治体ごとに異なるため、必ず居住地の市区町村に確認しましょう。
参考:高知県|高知県では昭和56年5月以前に建てられた住宅の耐震化を支援しています!
行動4:非常用持ち出しバッグは家族仕様で準備する

避難が必要になった際に、最低限必要な物をすぐに持ち出せる「非常用持ち出しバッグ」は欠かせません。家族構成に応じた防災バッグが生きることにつながります。
ここでは、非常用持ち出しバッグの準備方法や保管場所について解説します。
家族構成に応じた必要品を選択する
基本的な防災グッズに加えて、家族構成ごとで必要品の追加が重要です。主な災害用品をまとめましたので、参考にしてみてください。
| 対象 | 必要品 |
|---|---|
| 乳幼児 |
|
| 高齢者または介護者 |
|
| 女性 |
|
家族全員でリストをつくり、役割分担しながら足りない物はないか確認しておくと、万が一のときに安心です。
そのほか、全員に共通の防災グッズについて知りたい方は、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
関連記事:【防災の日特集】防災グッズ完全ガイド|必要なグッズ一覧や購入場所・収納場所まで徹底解説
持ち出しやすい場所に配置し定期点検する
非常用持ち出しバッグは、玄関や寝室の枕元など、家の中からすぐに持ち出せる場所に置きましょう。また、実際に背負ってみて、避難の際に無理のない重さにする調整が大切です。
準備して終わりではなく、定期的な点検も必要です。
- 食料品の賞味期限をチェックする
- 懐中電灯の電池を交換する
- 子どもの成長に合わせた衣類や靴のサイズを見なおす
定期的なメンテナンスによって命を守る備えが万全になります。
行動5:避難ルートと連絡手段を事前確認する
南海トラフ巨大地震が発生した際には、大きな混乱が予想されます。避難ルートや連絡方法を事前に確認し、家族でのルール決めておくことが不可欠です。
ここでは、避難ルートと災害時の連絡方法について解説します。
ハザードマップを活用して避難経路を確認する
避難経路の確認には、自治体が発行している「ハザードマップ」が有効です。ハザードマップを活用して自宅がある地域で次の点を確認します。
- 津波や洪水による浸水リスク
- 最寄りの指定避難所と複数の避難ルート
- 事前避難対象地域
事前避難対象地域とは、南海トラフ地震で津波から迅速に避難する必要がある指定地域です。家族で事前に調べた内容を共有し、万が一に備えましょう。
通信障害を見越して3つの連絡手段を決める
災害時には、電話やインターネットなどの通信インフラが広範囲で不通になると想定されます。家族が離れ離れになった場合に備え、次にあげる複数の安否確認方法を決めておきましょう。
- 災害用伝言サービス(171/web171)を使う
- SNS(XやLINE)の安否確認機能を活用する
- 被災地外の親戚・知人を「連絡拠点」に指定する
事前の予行練習や共有をおこなっていれば、非常時でも家族の安否を確認できる可能性を高められます。
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら?具体的な対応手順

南海トラフ地震対策の特別な情報として気象庁から発表される「南海トラフ地震臨時情報」は、巨大地震発生の可能性が高まっている状態を示す重要なサインです。情報が発表されてすぐに巨大地震が発生するわけではありません。
ここでは、南海トラフ地震臨時情報が出たら行動すべき手順について解説します。
ステップ1:情報の種類を正しく理解する
南海トラフ地震臨時情報には4種類のキーワードがあります。キーワードによって緊急度と求められる行動が異なるため、正しい意味の理解が重要です。
| 種類 | 意味 | 発表タイミング例 |
|---|---|---|
| 調査中 | 巨大地震との関連を調査中 | 想定震源域や周辺でM6.8以上の地震が発生 |
| 巨大地震警戒 | 後発の巨大地震が起こる可能性が高い状態 | 想定震源域でM8.0以上の地震が発生 |
| 巨大地震注意 | 後発の巨大地震が起こる可能性がある状態 | 想定震源域でM7.0級の地震が発生 |
| 調査終了 | 調査した結果、危険度が低いと判断 | ‐ |
どのレベルの情報が発表されたのかを、落ち着いて確認し、情報に合った心構えと行動が必要です。
参考:気象庁|「南海トラフ地震に関連する情報」について
ステップ2:家族の安全確保と避難行動を判断する
情報の種類を理解したあとには家族の安否を確認した上で動きましょう。巨大地震警戒と巨大地震注意では行動が異なります。
巨大地震警戒発表時は避難が必要です。事前避難対象地域の住民は、原則として1週間の事前避難が必要になるため、避難先を決めておきましょう。
一方、巨大地震注意発表時は、必ずしも避難する必要はありません。地震発生に備え、備蓄品や非常用持ち出しバッグの中身や避難ルートを最終確認しておくと安心です。
それぞれの状況に応じた早めの行動と確認が、安全につながります。
まとめ

南海トラフ巨大地震は、発生する可能性が高い災害です。ただし、事前の備えによって被害を大きく減らせます。
この記事では、家庭で優先して取り組んでおきたい5つの行動をご紹介しました。
- 行動1:家具の転倒防止対策を講じる
- 行動2:1週間分の備蓄を用意する
- 行動3:自宅の耐震性を確認・強化する
- 行動4:非常用持ち出しバッグは家族仕様で準備する
- 行動5:避難ルートと連絡手段を事前確認する
また南海トラフ地震特有の臨時情報について正しく理解しておくと、万が一の際に混乱せず、安全な避難行動につなげられます。
災害支援を待つのではなく、一人ひとりが主体性を持ち、今日からできる対策を家族で話し合い、行動に移していきましょう。
本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がございます。本記事に含まれる情報のご利用は、お客さまご自身の責任において行ってください。詳しくは「サイトポリシー」をご確認ください。














