床暖房の固定資産税の仕組みとは?評価額の算出方法を徹底解説
編集者:Daigasコラム編集部:リフォーム・リノベ担当
床暖房の導入を検討する際、「固定資産税にどの程度影響するのだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。床暖房のように建物と一体になった設備は、評価額に加算されるため、固定資産税が増えることになります。
固定資産税は、構造や設備などをもとに評価額を算出し、税率をかけて決定される仕組みです。評価方法や課税対象の条件を正しく理解しておけば、想定以上に税金がかかることはありません。
本記事では、固定資産税の算出方法や評価の仕組みを解説し、10㎡の床暖房を例に税額の目安を試算します。さらに、税負担を抑える工夫や家屋調査時の注意点、誤った対応によるリスクについてもまとめています。
記事を読むことで、床暖房導入時の税負担を正確に理解し、導入費用やランニングコストを予算内に収められるでしょう。
※この記事は2025年10月現在の情報をもとに執筆しています。
目次
床暖房と固定資産税の関係

床暖房と固定資産税の関係について以下の2つを解説します。
- 床暖房が固定資産税の評価対象となる理由
- 固定資産税の算出方法
順番に確認していきましょう。
床暖房が固定資産税の評価対象となる理由
床暖房は建物と構造上一体化しており、居住性を高める設備であるため、固定資産税の評価対象となります。
固定資産税は、建物の構造・設備・仕上げなどをもとに「再建築価格」が算定され、その金額に応じて課税される仕組みです。再建築価格のなかには、建物と一体化して効用を高める設備も含まれ、太陽光パネルや全館空調、床暖房などが該当します。
そのため、床暖房を導入すると、建物の評価額に床暖房分が加算され、固定資産税は増加します。
一方、壁かけ型エアコンや照明のように取り外しが可能で建物と一体性の低い設備は、通常は課税の対象になりません。
固定資産税の算出方法
固定資産税は、「評価額(課税標準額)×税率」という式に基づいて算出されます。税率は原則として1.4%です。評価額の算出は、以下の3つのステップでおこないます。
- 標準評点数の算出
- 再建築価格の算出:標準評点数×物価水準による補正率×補正係数
- 評価額(課税標準額)の決定:再建築価格×経年減点補正率
まず、建物の構造・仕上げ・設備などを項目ごとに点数化した「標準評点数」が算出されます。総務省の「固定資産評価基準 第2章 家屋 P18」によると、床暖房の標準評点数は、1㎡あたり15,420点です。
次に、標準評点数に「物価水準による補正率」と「補正係数」をかけ合わせ、再建築価格を求めます。物価水準による補正率とは、市区町村ごとの物価水準の差を埋めるために設定された係数です。木造家屋の場合は、0.90・0.95・1.00の3段階で定められています。
※補正率は令和6基準年度の場合
また補正係数とは、設備の種類ごとに異なる基準で評価点数を調整するための係数です。たとえば床暖房では「施工の程度」によって補正され、程度のいい施工(増点補正率)なら1.2、標準は1.0、程度の悪い施工(減点補正率)なら0.8が適用されます。
なお、設備によっては補正の基準が異なり、換気設備では「機能」、ホームエレベーターでは「積載量」が評価に影響します。
再建築価格とは、対象となる建物を現時点で同じ仕様で新築した場合に必要と想定される金額です。
最後に、建物の築年数に応じた経年減点補正率を再建築価格にかけて、最終的な評価額(課税標準額)を算出します。たとえば、築10年の木造であれば、0.50の補正率が適用されます。
床暖房を設置すると固定資産税はいくら上がる?

次に、床暖房の設置によって加算される固定資産税額の目安を以下2つの観点から解説します。
- 固定資産税の計算に必要な4つのポイント
- 床暖房10㎡を設置した場合の固定資産税シミュレーション
床暖房の導入を検討している方は参考にしてください。
固定資産税の計算に必要な4つのポイント
床暖房を設置した場合に固定資産税がどの程度上がるのかを試算するには、評価額の算出に必要な条件を把握しておくことが大切です。特に以下の4点は、試算の前提として確認しましょう。
- ①設置面積(㎡)
- ②床暖房の補正係数に影響する施工の程度(良・普通・悪)
- ③物価水準による補正率
- ④築年数(経年減点補正率の算出に必要)
①と②は、施工会社のお見積り書や設計図書に記載されているケースが多く、床暖房の施工範囲や仕様から確認が可能です。
③は、評価対象となる市区町村によって異なります。具体的な数値は自治体が公開している評価資料や評価事務取扱要領などで調べられます。
④の築年数は、登記簿謄本や住宅ローン書類などから確認可能です。評価額の補正に用いられる「経年減点補正率」は、この築年数をもとに適用されます。
これらの情報をもとに、評価額と固定資産税額の目安を算出します。
床暖房10㎡を設置した場合の固定資産税シミュレーション
床暖房を導入すると固定資産税がどの程度増えるのか、具体的な数値で確認してみましょう。ここでは、床暖房の設置面積を10㎡とした場合のシミュレーションをおこないます。
前提条件とシミュレーション結果は、以下のとおりです。
【前提条件】
- 設置面積:10㎡
- 建物構造:新築木造住宅
- 床暖房の補正係数に影響する施工の程度:標準(補正係数=1.0)
- 設置地域:大阪市(物価水準による補正率=1.00)
- 経年減点補正率:1.0(新築のため減価なし)
【シミュレーション結果】
- 標準評点数:154,200点(15,420点×10㎡)
- 再建築価格:154,200円(154,200点×1.00×1.0)
- 評価額(課税標準額):154,200円×1.0(154,200点×1.0)
- 固定資産税額(年額):2,158円(154,200円×1.4%)
※小数点以下切り捨て
このように、10㎡の床暖房を導入した場合、固定資産税は年額でおよそ2,158円増加します。設置面積や補正係数により金額は変動するため、実際の条件に合わせてシミュレーションをしてみましょう。
床暖房を固定資産税の対象から隠すことはできる?家屋調査でバレる理由

床暖房の存在が家屋調査でバレる理由を以下2つの観点から解説します。
- 家屋調査とは
- 家屋調査で床暖房が見つかるまでの流れ
順番に確認していきましょう。
家屋調査とは
家屋調査とは、新築や増築をした際に、市区町村の職員が現地を訪問し、建物を評価するために実施する調査です。家屋調査の結果に基づき、固定資産税および都市計画税の課税標準額が決まります。
家屋調査では、外観や内装の仕上げ、キッチンや浴室などの住宅設備、床暖房などの建築設備が確認対象です。また、現地調査のほかに、建築確認申請書やお見積り書・竣工図面などの資料提供を求められることもあります。
家屋調査で床暖房が見つかるまでの流れ
調査担当者は、事前に設計図書や建築確認申請書、施工業者の申告内容などを確認した上で現地を訪問します。現地では、建物の構造や設備の状態を目視で確認しながら、提出された図面と照らし合わせて間取りや設備の位置を確認する流れが一般的です。
床暖房は床下に設置されていて直接は見えませんが、スイッチや操作パネル、室内の断熱仕様などからその有無を把握できる場合があります。さらに、設計図書や仕様書に床暖房の記載があれば、設置の有無は調べられるため、基本的に担当者が見落とすことはありません。
このように、複数の方法で床暖房の有無を確認できるため、課税対象から外すことは実質的にできません。
床暖房の固定資産税を抑える方法

床暖房の固定資産税を抑える方法を2つ紹介します。
- 設置面積を減らす
- 支払い方法を工夫する
固定資産税を抑えたい方は、参考にしてください。
設置面積を減らす
床暖房の評価額を抑えるには、設置面積を減らすのが効果的です。固定資産税は、床暖房の施工面積に応じて標準評点数が加算される仕組みのため、面積が広いほど評価額が上昇します。
たとえば、先ほどのシミュレーションでは10㎡の床暖房を設置した場合の固定資産税額は年額2,158円でしたが、5㎡に縮小すれば約1,080円となります。
そのため、部屋全体に設置するのではなく、ソファ前やキッチンの足元など、使用頻度が高いエリアに限定すれば、快適性を保ちながら設置面積を減らすことが可能です。このように部分的に床暖房を設置すれば、全館床暖房と比べて施工コストや電気・ガス代も抑えられ、ランニングコスト面でもメリットがあります。
支払い方法を工夫する
固定資産税の金額そのものを支払い方法で軽減することはできませんが、支払い方を工夫すれば実質的な負担を抑えることは可能です。
クレジットカード払いや電子マネー決済に対応している自治体であれば、ポイント還元を受けられる場合があります。たとえば、年額2,000円の固定資産税を1%還元のカードで支払えば、年間で約20円分のポイントが還元され、10年間で200円相当になります。
少額とはいえ、ほかの税金や光熱費と合わせて支払えば還元額も積み重なり、長期的には無視できない差になるでしょう。
なお、固定資産税をクレジットカードで納付すると、納付額に応じて手数料がかかります。固定資産税の税額によっては、得られるポイントよりも手数料の方が多くなってしまいます。そのため、クレジットカードでの納付を検討する場合は、得られるポイントと手数料のどちらが多くなるかを事前にシミュレーションしましょう。
床暖房の固定資産税に関するよくある質問

床暖房の固定資産税に関するよくある質問を以下4つに回答します。
- 電気式床暖房と温水式床暖房で、固定資産税の評価額に差が出る?
- 床暖房の設置面積はどこに書いてある?
- 全館床暖房を設置すると固定資産税は高くなる?
- 床暖房の固定資産税を安くする裏ワザはある?
1つずつ見ていきましょう。
電気式床暖房と温水式床暖房で、固定資産税の評価額に差が出る?
現在、電気式と温水式の床暖房で固定資産税の評価額に差はありません。どちらも、総務省の「固定資産評価基準 第2章 家屋」に基づき、同一の標準評点数で評価されます。
かつては、電気式のほうが温水式よりも評価額が高く、2倍近くになることもありました。ただし、最新となる令和6基準年度の評価基準では方式の違いによる差は設けられていません。
評価額は、施工面積や物価水準による補正率などによって決まります。床暖房の種類が評価額に影響することはなくなったため、古い情報には注意が必要です。
床暖房の設置面積はどこに書いてある?
床暖房の設置面積は、設計図書や仕様書に明記されています。平面図には床暖房を設置した範囲が㎡単位で示されているのが一般的です。
また、建築時のお見積り書や仕様確認書にも「床暖房〇〇㎡」といった記載があるケースが多く、これらの資料を確認すれば設置面積を把握できます。
家屋調査の際には、提出された図面や施工業者の資料をもとに、市区町村が課税対象となる面積を判断します。もし手元に資料がない場合は、建築確認申請書の付属図面や引き渡し時の書類を確認するといいでしょう。
全館床暖房を設置すると固定資産税は高くなる?
全館床暖房を導入すると、設置面積が増える分だけ評価額が上昇し、固定資産税の負担も大きくなります。
先ほどのシミュレーションの場合、設置面積10㎡で固定資産税は約2,158円でした。仮に接地面積50㎡の全館設置とした場合は、年間で約10,790円となり、およそ8,600円の差が生じます。
設置面積が広くなるほど課税対象となる範囲も増えるため、全館暖房を検討する際は税負担の増加も踏まえて判断することが重要です。
床暖房の固定資産税を安くする裏ワザはある?
固定資産税の負担を都合よく免れるような「裏ワザ」は存在しません。「家屋調査で申告しなければバレない」といった対応も通用せず、スイッチや設計図書などから床暖房の存在は簡単に確認されます。
ただし、設置面積を減らしたり、支払い方法を工夫したりすれば、評価額や実質的な負担を抑えることは可能です。
まとめ

床暖房は、建物と一体化した建築設備として「家屋の一部」に該当し、固定資産税の評価対象になります。評価額(課税標準額)は、標準評点数・補正係数・物価水準による補正率に応じた補正を加え、築年数に応じて減額補正をおこなうことで算出されます。
本記事のシミュレーションでは、10㎡の床暖房を設置した場合の固定資産税は年額約2,158円です。設置面積を5㎡に抑えれば、約1,000円の節約になります。
なお、「申告しなければバレない」といった対応は通用しません。設計図書やスイッチなどから床暖房の有無は簡単に確認できるため、課税対象から外すことはできません。税額自体は変更できませんが、支払い方法を工夫することで、ポイント還元などによる実質的な負担軽減が可能です。
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