エコキュートからお湯が出ない原因は?対処法や予防策も解説
編集者:Daigasコラム編集部:給湯器担当
突然エコキュートからお湯が出なくなると、日常生活に大きな影響を及ぼします。また、エコキュート内は複雑な構造になっているため、何が原因でお湯が出ないのかと疑問に思うでしょう。
本記事では、「水は出るがお湯が出ない場合」と「水もお湯も出ない場合」に分けて、考えられる原因と対処法を解説します。原因を正しく把握し、適切に対処しましょう。
目次
エコキュートから水は出るけど、お湯が出ないときの原因と対処法

エコキュートから水は出るけど、お湯が出ないときの原因として、以下の8つが考えられます。
- タンク内でお湯切れしている
- 配管で水漏れを起こしている
- 混合水栓が故障している
- 一時的にエラーが発生している
- エコキュートを設置したばかりである
- 給水ストレーナにごみがたまっている
- 内部の基盤が故障している
- エコキュート本体が故障している
なぜお湯が出なくなってしまうのか、具体的な対処法とともに見ていきましょう。
また、お湯が出ない原因としては、給湯器の故障なども考えられます。
タンク内でお湯切れしている
エコキュートからお湯が出ないときは、まずはタンク内のお湯がなくなっていないか確認してみましょう。
エコキュートは一般的に夜間にお湯を沸かし、使い切ると「湯切れ」状態になってお湯が出なくなります。再度お湯を使うためには、水を加熱して沸きあげなければいけません。
自動沸き増し機能やエコモードなどを活用すると湯切れを防止できます。
また、最大まで沸きあげてもすぐに切れてしまう場合は、家族人数や利用方法に対して、タンク容量が不足している可能性もあります。
必要に応じて、よりタンク容量の大きな製品への買い替えも検討しましょう。
配管で水漏れを起こしている
水は出るものの、お湯だけが出ないケースでは、お湯が流れる配管での水漏れが疑われます。
貯湯タンクやヒートポンプ周辺の配管に水漏れがないか確認してください。
配管の水漏れは自分だけでは対処できないため、メーカーや専門業者に相談・修理を依頼するのが適切です。
混合水栓が故障している
混合水栓の不具合が原因で、お湯が出ないこともあります。
混合水栓とは、お湯と水を混合して出す蛇口です。混合水栓には水量と温度を調整するバルブカートリッジと呼ばれる部品があり、この部品が不具合を起こすと蛇口からお湯が出なくなってしまいます。
台所ではお湯が出るが浴室(のシャワー)などでは出ないなど、場所による差がある場合は混合水栓の異常が疑われます。
混合水栓の修理には専門知識が必要なため、メーカーや専門業者に相談しましょう。
一時的にエラーが発生している
漏電遮断機の作動や通信エラーなどが生じると、エコキュート自体の機能制限が作動し、給湯が停止するケースがあります。
ヒートポンプの異物混入や水漏れ検知もエラーが発生する原因となり、リモコンにはエラーコードが表示されるでしょう。
エラーコードの内容から、どういった不具合が発生しているのか確認し、適切に対処するとエラーが解除され、再びお湯が出るようになります。
一方で、誤作動でエラーが表示されることもあります。問題が見当たらない場合は、取り扱い説明書にしたがってリモコンのリセットを試してみましょう。
エラーコードについては、記事後半にて詳しく解説します。
エコキュートを設置したばかりである
エコキュートの設置直後は、十分な沸きあげができておらず、お湯が出ないこともあります。
目安としては設置工事完了から約3時間で使用できます。※3時間以上かかる製品もあります。取り扱い説明書やメーカーの注意書きなどをチェックしましょう。
設置した直後は、夜間に沸きあげをおこなう設定になっていることも多いため、最初は手動で沸きあげをおこないましょう。
また、設置したばかりのエコキュートは、止水栓が閉まった状態になっていることもあります。使用前には止水栓も合わせてチェックしてください。
給水ストレーナにごみがたまっている
給水ストレーナは、水中の不純物やごみを除去するフィルターです。
給水ストレーナに不純物やごみが詰まると、水の流れが悪くなり、お湯が出ない原因にもなります。
半年に1回程度、定期的な手入れをおこなっていると給水ストレーナの不具合を予防できます。
手入れをおこなう際には、まず止水栓を閉めたあと、給水ストレーナを取り外して歯ブラシなどでごみを取り除けば完了です。
こまかい手入れ方法は、製品の取り扱い説明書を参考にしましょう。
内部の基盤が故障している
エラーが頻発してお湯が出ない場合、エコキュート内部の基盤が故障しているかもしれません。
エコキュート内の基盤は沸きあげや通信を制御しているため、この部品が不具合を起こすと給湯機能が停止してしまうのです。
基盤の修理は専門的な知識が必要になるため、メーカーや専門業者に依頼しましょう。
また、基盤の不具合は経年劣化によって生じます。使用年数が10〜15年に近い場合は、基盤以外の部品も劣化している可能性があるため、修理ではなく買い替えを検討するのも一案です。
エコキュート本体が故障している
突然お湯が出なくなった場合は、本体の故障も疑われます。
水とお湯の混合が正常におこなえず、水温調整ができなくなり、ぬるいお湯しか出なくなってしまうのです。
すべての蛇口からぬるいお湯しか出ない、再起動を試してみてもお湯が出ない、などの場合は本体トラブルの可能性が高くなります。
自分だけではどの内部部品が不具合を起こしているのか判別できません。そのため、メーカーや専門業者に相談して、必要に応じて点検、修理、部品交換を実施してもらいましょう。
エコキュートからお湯が出ず、水も出ないときの原因と対処法

エコキュートからお湯も水も出ない場合、以下のような原因が考えられます。
- 配管が凍結している
- 断水している
- 止水栓が閉まっている
原因ごとの適切な対処法もおさえておきましょう。
配管が凍結している
寒い季節になると配管が凍結してしまい、水もお湯も出なくなってしまうケースがあります。
気温が0度を下回るような地方に住んでいる場合や、配管がむき出しになっている場合は、配管内が凍結しやすくなります。
とくにマイナス4度を下回ると凍結しやすくなるといわれているため、ひとつの判断基準として把握しておきましょう。
配管が凍結してしまった際は、凍結している部分にタオルをかけて、40度程度のぬるま湯をゆっくりかけるのが有効です。いきなり熱湯をかけると、急激な温度変化で配管が破裂してしまうおそれがあるため避けましょう。
断水している
蛇口から水もお湯も出ない場合は、エコキュートの故障ではなく断水の可能性があります。
当然ながら、断水中は配管内に水が流れないため、水もお湯も使用できません。
周辺地域で断水が発生しているかどうかは、自治体の情報から確認できます。
対処法としては断水が解除されるまで待機することしかできません。どうしても水が必要なときは、貯湯タンクにたまっているお湯を非常用水として使用しましょう。
止水栓が閉まっている
エコキュート本体や蛇口側の止水栓・給水バルブが閉まっていると、水もお湯も出なくなってしまいます。
水まわりの工事やメンテナンスをおこなったあと、うっかり閉めたままになっているというのは珍しくありません。
止水栓が閉まったままの状態であり、ほかの部品に異常がないならば、開栓するだけで水とお湯が出るようになるでしょう。
エコキュートの止水栓は主に貯湯ユニットの下部に設けられているため、まずはそこから確認してください。
メーカー別エラーコードが出ている場合の原因と対処法

エコキュートにて表示されるエラーコードについても見ていきましょう。ここでは、以下のメーカーにおけるエラーコードについて紹介します。
- 三菱
- ダイキン
- 日立
- パナソニック
各エラーコードの内容や対処法をおさえておきましょう。
また、同じメーカーの製品であっても、モデルによっては異なるコードが出る場合があるため、公式サイトの情報も必ず参照してください。
三菱
三菱エコキュートのエラーコードは、「アルファベット+数字」もしくは「数字のみ」で構成されています。具体的には、次のようなエラーコードがあげられます。
| エラーコード例 | エラー内容 |
|---|---|
| C03 | 高圧異常 |
| C20 | 沸きあげ温度高温異常 |
| F08 | 漏水検知 |
| H01 | リモコン通信異常 |
| P36 | 熱源ポンプ異常 |
お湯が出ないトラブルは、C・F・Pなどのアルファベットで始まるコードに分類されています。エラーコードを確認し、取り扱い説明書や公式サイトから、詳細や対処法をチェックしてみましょう。
ダイキン
ダイキンのエラーコードは、「アルファベット+数字」「アルファベットのみ」「数字のみ」という形式で分類されています。エラーコードとエラー内容についても見ていきましょう。
| エラーコード例 | エラー内容 |
|---|---|
| C76 | リモコン通信異常 |
| C15、C16、C55 | 断水している可能性あり
給水止水栓が閉じている可能性あり 配管が凍結している可能性あり |
| E7 | ヒートポンプユニットのファン周辺に雪が積もっている |
| U51 | お風呂の栓が外れている |
| 740 | 台所リモコンの通信異常 |
エラーコードの内容を見ても、どのような対処をすればいいのかわからない場合は、メーカーに問い合わせて相談してみましょう。
日立
日立エコキュートのエラーコードは、「アルファベット+数字」の組み合わせで分類されています。具体的には以下のようなエラーコードがあげられます。
| エラーコード例 | エラーコード内容 |
|---|---|
| C05 |
|
| C23 |
|
| Er01〜Er03 |
|
| Er31 |
|
| HE15 |
|
エラーコードの内容には、電源の入れ直しや簡単な操作で対処できるケースもあります。しかし、自分では対応できない不具合が表示されている場合は、メーカーや専門業者へ相談してみましょう。
パナソニック
パナソニックのエラーコードは、「U・H・Fのアルファベット+数字」で分類されています。エラーコードの一例は以下のとおりです。
| エラーコード例 | エラー内容 |
|---|---|
| U51 | 浴槽の栓が抜けている |
| U61 | 湯切れの可能性がある |
| H33 | 風呂サーミスタに異常がみられる |
| H54 | 切替弁に異常がみられる |
| F17 | 機器から漏水を検知している |
Uで始まるコードはユーザーが利用者側で対応できる内容が多いのが特徴です。一方、Hで始まるコードやFで始まるコードは内部部品の不具合をさし示しており、これらのエラーが表示されている場合には、適宜メーカーや専門業者に相談するといいでしょう。
エコキュートでお湯が出ないときに関するよくある質問

お湯が出なくなったエコキュートに関して、多くの人が以下のような疑問を持ちます。
- 凍結を予防するためにできることは?
- お湯が出る場所と出ない場所があるけど故障?
- 故障しても修理できれば何も問題ない?
- エコキュートの買い替えでは補助金を利用できる?
こまかいポイントについても理解を深めていきましょう。
凍結を予防するためにできることは?
エコキュートの凍結を予防する方法として、「給湯栓をあける」「凍結予防運転・凍結防止運転をする」「寒冷地仕様の製品を選ぶ」などがあげられます。
| エコキュートの凍結予防方法 | 予防方法の詳細 |
|---|---|
| 給湯栓をあける | 給湯温度を「水」や「低温」に設定し、水を流し続ける |
| 凍結予防運転・凍結防止運転をする | 浴槽の残り湯を配管内で循環させる |
| 寒冷地仕様の製品を選ぶ | マイナス25度まで対応できる寒冷地仕様のエコキュートを購入する
※一般地仕様はおおむねマイナス10度まで対応 ※メーカーや製品仕様によって異なる |
鉛筆の芯ほどの細さで水やぬるま湯が流れる状態にしておくだけでも、配管の凍結を予防できます。気温が下がる日や厳しい寒波が予測される日は、事前にこれらの対策を実施しておくといいでしょう。
お湯が出る場所と出ない場所があるけど故障?
お風呂の湯船ではお湯が出るものの、シャワーや水道からはお湯が出ないというケースもあるでしょう。
場所によってお湯が出たり、出なかったりする場合、配管や内部部品の故障が考えられます。
たとえば、シャワーにつながる枝配管のみ破損している、混合水栓が不具合を起こしていることなどが原因としてあげられます。
対処には専門的な知識が求められるため、自分で解体して故障箇所を探そうとするのではなく、メーカーや専門業者に相談しましょう。
故障しても修理できれば何も問題ない?
エコキュートからお湯が出なかった原因が部品の故障であり、部品の交換によって不具合が改善するのであれば特に問題ありません。
しかし、設置から何年も経っているならば、エコキュート自体の買い替えも検討しましょう。
エコキュートの寿命は10〜15年であり、ひとつの部品を交換しても、別の部品が故障することもあります。
また、製造から年月が経った製品は、部品の製造が終了している場合もあるのでエコキュートを長期間使用しているならば、修理ではなく買い替えもおすすめです。
エコキュートの買い替えでは補助金を利用できる?
エコキュートを交換する際には国や自治体からの補助金を利用できる可能性があります。
たとえば、「給湯省エネ2025事業」です。高効率な給湯器の一般家庭への導入支援を目的に、エコキュートを購入する人に対して、6万円~13万円の補助をおこなっています。
ただし、すべてのエコキュート製品で補助金を受け取れるわけではありません。補助金の対象となるのは、定められたエネルギー消費効率目標基準値を満たした製品に限ります。利用したい方は、購入する前に対象となる製品を確認しましょう。(※目標基準値に達していなくとも、「おひさまエコキュート」ならば補助の対象となる場合もあります。補助金の利用を検討している方は、そちらも参照してみましょう。)
補助金の内容や条件は年度によっても異なります。補助金制度の利用を検討している方は、公式サイトにて詳しい対象基準や補助金支給額について調べておくことが大切です。
エコキュートからお湯が出ない原因を把握し、適切な対処をしよう

エコキュートからお湯が出ない場合、まずは冷静に原因を特定しましょう。
代表的な原因として、タンク内のお湯切れや内部部品の故障、一時的なエラーの発生などがあげられます。
原因によっては、簡単な操作やメンテナンスで解決できます。しかし、基盤の故障や本体そのものの故障などになると、自身では解決が難しいでしょう。
自分だけで解決しようとするのではなく、必要に応じてメーカーや専門業者に相談するのも大切です。また、長期間使用しているエコキュートは、今後も不具合が発生し続けるおそれがあるため、本体の買い替えも検討してください。
エコキュートのトラブルを未然に防ぐためにも、日常的なメンテナンスの実施を心がけましょう。
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