これで安心!不動産を売りたいあなたが知っておきたい売却までの基本の流れ

監修者:宅地建物取引士 永見薫

編集者:【大阪ガス】Daigasコラム編集部

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「自宅や土地を売却したい」――その際に心にとめておきたいのは、正しい知識と手順を踏むのが大切だということです。「何をすればいいのかわからない」「どうしたら売却できるの?」と戸惑っている方は、まずは売却の全体の流れを理解しましょう。 
 
今回は、戸建て住宅やマンション、土地を売却したい人が、労力とお金をムダにせずスムーズに売却するために「このステップを踏めば安心!」というフローを1から解説していきます。 

 売却前にすべき準備

まず売却前にすべき準備があります。目的・スケジュール・書類の整理です。 
はじめにどんな目的があるかを今一度考えましょう。「引っ越しするので指定の時期までに売却したい」「相続後に相続税対策のために売りたい」など明確な目的がある場合もあれば、「余剰不動産を抱えていたからそろそろ手放そうと思う」などという緊急ではない目的の場合もあるかもしれません。明確な目的があり、緊急性がある場合は、そのために活動を急がなくてはならないので一度家族内で整理をしておきましょう。

 
売却スケジュールの確認

そして上記の目的に合わせて「いつまでに」「いくらで」売りたいのか。これらの条件を整理しましょう。明確な期限や価格設定がある場合、これらの設定を鑑みて売却の準備をする必要があります。 
戸建て、マンション、土地それぞれに状態によって売却期間は異なりますが、一般的に募集から売却完了まで3〜6ヶ月程度は時間がかかります。ただ、不動産には売りやすい時期があります。比較的高額で売却しやすいのは、不動産購入需要が増える1~3月と、9~11月です。目的を考えた上で、売りたい時期や高く売れる時期を考えながら計画を立てましょう。スケジュールについては、のちほどくわしく解説します。 

 
必要書類と費用の準備

土地や家の売却をするためには、以下のような書類が必要です。聞き慣れない書類や費用があるだけではなく、書類の取得に時間がかかることもあります。事前にそろえておくといいでしょう。 
以下に記したのが主な必要な書類と費用です。書類は手元にない場合、再度調査が必要なものもあります。調査にも時間がかかるため、時間に余裕を持って準備しましょう。

  • 主な書類
    ・登記識別情報(権利証)
    ・不動産取得時の販売図面と売買契約書および重要事項説明書
    ・土地測量図(ない場合、再度測量が必要な場合もある)
    ・境界確定図や覚書など(あれば)
    ・建物図面
    ・建築確認済証(必要があれば準備)
    ・ローン残高証
    ・固定資産税評価額課税明細書
    ・耐震診断書(診断書がない場合、耐震診断の再診断が必要なこともある)
    ・設備保証書 
  • 主な売却諸費用
    ・仲介手数料
    ・登記費用
    ・各種税金
    ・ローン解約手数料 

売却の流れ

ここからは売却の流れについて解説します。不動産の売却はお金と時間、そして手間もかかります。しかし、どの程度を必要とするのかわからないと不安に感じますよね。多くの人は初めて経験することですので当然です。そのためにまずは全体像を理解しておけば、ものごとの見通しが立ちやすくなります。 
 
 【不動産の売却のおおまかなステップ】 
売却から売却完了後までの流れは大きく分けて、6つのステップがあります。大きく3つに分けると「準備期間」「売却期間」「売却後期間」のフェーズに分かれます。  

査定の依頼

物件を売却するための準備ができたら、次は市場での評価がどの程度なのかを把握する必要があります。評価とはつまり「物件の売り出し価格」のことです。価格を決めるためには不動産の「査定」が必要となります。この査定こそが売却活動を大きく左右します。 

不動産会社は不動産売却を一緒に進めるパートナー。とはいえ、「高い価格で査定してくれたから、このパートナーが正しい」と選んでしまうと、あとで後悔につながります。実は不当に高い査定をつけていて「なかなか売れない」といったことや、「売主や買主への対応が悪い」といったことがあるとトラブルにつながることも。決して「価格面」がすべてではありません。 
信頼できる不動産会社を選ぶためには、1つの不動産会社ではなく、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。その際に比較をして「総合的にいい」と思った不動産会社を選ぶことが大切です。 
 

  • 不動産会社を選ぶ際のポイント
    ・売却実績の数
    売却を希望する物件や売却する物件があるエリアで取引実績が豊富かどうかを確認。
    ・不動産会社の担当者の対応 
    不動産取引に関する豊富な知識があり、依頼者の質問に誠実に答えられるかどうか。提案力やコミュニケーションのほか、相性も重要。
    ・査定額の根拠 
    現実的で無理なく売却可能な価格か、意図的に高い査定額を提示していないかを確認。また査定価格の根拠をきちんと説明をしてくれるかどうかもポイント。 ・販売戦略の明確さ
    依頼者の希望に合わせてどのような販売活動をおこなうのか、具体的な計画を提示してくれるか。

信頼できる不動産会社を選ぶ上で、複数の会社を比較検討することは不可欠です。複数社に査定してもらうことで、適正な市場価格を把握することができるほか、提案内容をとおして売りたい不動産の販売戦略や担当者との相性をチェックすることができます。 

 媒介契約の締結

複数社を比較検討した上で、仲介を依頼する不動産会社が決定したら、次は媒介契約の締結です。売り出し活動を始めるために、不動産会社と媒介契約を結びます。 

媒介契約は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約と3種類あり、それぞれ活動する上で制約があります。売却活動における売主の自由度や、不動産会社に課される義務がそれぞれ異なっています。それぞれの違いをしっかり理解して、自分の置かれている状況に合う契約方法を選ぶことをおすすめします。 

媒介契約の種類

 一般媒介契約

一般媒介契約は、専属専任媒介契約や専任媒介契約とは異なり、複数の不動産会社に対して同時に不動産売却の依頼ができる契約形態です。売主にとってとても自由度が高く、自己発見取引も可能です。また指定流通機構(レインズ)への登録、契約期間、業務処理の報告義務について法律上で定められておらず、3種類の媒介契約のなかでは最も拘束力が弱い契約形態です。 

また媒介契約の中途解約も可能です。専属専任媒介契約と専任媒介契約は、原則中途解約ができず、期間満了までは契約が存続します(契約相手の不履行の場合は除く)。ところが一般媒介契約は中途解約が可能で、さらには違約金も発生しないという点がメリットです。 

 専任媒介契約

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同じく、不動産売却活動を1つの不動産会社のみに依頼する契約形態です。基本的な活動内容は専属専任媒介契約と同じで、媒介契約のなかでは2番目に拘束力が強い契約形態です。 

専任媒介契約では、不動産会社は2週間に1回以上、依頼者に対して業務処理状況を報告するよう定められており、媒介契約締結後、7営業日以内に不動産の物件情報ネットワークシステム「指定流通機構(レインズ)」に登録する義務があります。

専任媒介契約も不動産会社に課される義務が多いことから、契約期間は3ヶ月までと短期間に定められています。ただし、売主の申し出により契約期間を更新することが可能で、更新のタイミングから3ヶ月を限度として延長できます。 

専属専任媒介契約と大きく異なるのは、契約期間中に依頼者が自ら買い手を見つけた場合(自己発見取引)も取引することができるという点です。 

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、不動産の売却と販売活動を1つの不動産会社のみに依頼する契約形態のことです。契約期間中はほかの不動産仲介会社と新たに契約を結ぶことが禁止されています。また、契約期間中に依頼者が自ら買い手を見つけた場合(自己発見取引)も取引することはできません。必ず契約している不動産会社を通じてのみの取引となります。3種類の媒介契約のなかでは最も拘束力の強い契約形態です。 

専属専任媒介契約では、不動産会社は1週間に1回以上、依頼者に対して業務処理状況を報告するよう定められており、媒介契約締結後、5営業日以内に不動産の物件情報ネットワークシステム「指定流通機構(レインズ)」に登録する義務があります。 

3種類の媒介契約のなかでは最も報告頻度が高く、活動頻度も活発なため、売却活動を積極的におこなってもらいやすい傾向にあります。 

契約期間は3ヶ月までと短期間に定められています。ただし、売主の申し出により契約期間を更新することが可能で、更新のタイミングから3ヶ月を限度として延長できます。 

売却活動

3種類の媒介契約のなかから、不動産会社と締結する媒介契約を決めたあとに、契約を締結します。その後、売却活動の開始です。不動産会社とともに進めていきます。

不動産会社は、広告・宣伝を通じて購入希望者を募集し、まずは購入希望者の内覧をセッティングします。売主がまだ居住中であれば、内覧の対応は不動産会社の担当者とともに実施することが基本です。もちろん内覧は売主が立ち会わずに不動産会社に任せることも可能です。土地の売買の場合は、基本的に売主の立ち会いはありません。  
内覧・問い合わせ対応のポイント

 売却活動が始まり、内覧希望が入ると、売主は内覧対応をする必要があります。特に売主がまだ居住中で買い手募集をしている場合は、生活の様子や居住する家族の姿を見せることになります。あらかじめ認識しておきましょう。 

内覧準備で気をつけること

内覧の際には売り出し物件にいい印象を持ってもらえるように、室内の清掃や設備の不具合チェックなど準備をしましょう。

特に清掃する場合やチェックする場合、以下の点を重視してください。

玄関:玄関は内覧の際に一番初めに通る箇所です。明るく清潔な印象を持ってもらえるように靴はできるだけ靴箱に片付け、床は清掃しきれいに拭きあげておきましょう。

水回り:トイレ・洗面所・風呂場・キッチンなど水垢や油汚れが目立つ場合はきれいに落とし、なるべく物は片付けましょう。また排水溝の汚れやにおいが気になる場合は、きちんと清掃をしましょう。 

リビング:不要な日用品や家電は片付け、掃除をしましょう。目立つ汚れやシミがある場合は、しっかり拭き掃除をして落としましょう。また傷やへこみがある場合はしっかり確認しておき、内覧時に説明をできるようにしましょう。 

バルコニー・庭:内覧時には室内以外も確認します。バルコニーに落ち葉やごみ、埃などがたまっている場合はきれいに清掃し、水で流して磨き上げる。また庭の場合は雑草などをしっかり処理しておきましょう。

家や土地は大事な商品です。手入れがされていると買主は商品にいい印象を持ちます。またメンテナンスが行き届いているとわかれば、売主に対しても同じです。そのため、できることはきちんと準備して内覧に臨みましょう。 

 問い合わせ時に気をつけること

内覧の問い合わせをもらったら、できるかぎり内覧希望に応じて対応しましょう。内覧の問い合わせはいつ入ってくるかわからないものです。一度断ると、その希望者が再度問い合わせをしてくれるかはわかりません。売却のチャンスを逃さないように臨機応変に応じましょう。 

内覧時に気をつけること

購入希望者にとって内覧時の売主の印象は、購入の判断に大きく影響します。家や土地は大きな買い物。買うならばいい売主から買いたいと考えます。無理に繕った接客をする必要はないですが、誠実に丁寧に対応をしましょう。また、聞かれたことに対しては率直に隠すことなく答えましょう。購入希望者が聞きたいことは、実際に生活している人の生の声です。利便性や環境面などその人にしか語れないことが知りたいものです。ですから、売主が感じていることや知り得た情報などを伝えましょう。また、売主の売却理由も知りたいことのひとつです。 

購入希望者に不安を与えないようにきちんとお伝えしましょう。 

買主との交渉の進め方

不動産の売却の際には、購入希望者からの値引きの申し出が少なくありません。とはいえ、売主は必ずしも希望者から提示された価格で合意する必要はありません。売主自らが望む価格、引き渡し時期を重視することが一番です。また条件交渉の際には、単なる価格交渉ではなく、ほかの条件との抱き合わせをして交渉することがおすすめです。「引き渡し時期を売主が望む時期まで待ってもらう」「手付金額の入金時期・入金額の調整」「付帯設備ありで譲渡(売主が残置していく)」「付帯設備を減らして売却(必要な設備は売主が持っていく)」などほかの条件もセットにすると交渉がしやすいです。 
 
相手に合わせすぎず売却の目的や戦略などを今一度見直し、あせらず、柔軟な姿勢で交渉に臨むことが大切です。また仲介役の不動産会社が急かす場合もあるかもしれませんが、必ずそれに応じる必要もありません。アドバイスを聞きつつも、最後は自らの信念で判断して進めていくことをおすすめします。 

 売買契約の締結・決済・引き渡し

売却活動を開始し、不動産の買い手が決まったら、今度は売主と買主の間で売買契約を締結します。このときに不動産会社が不動産売買契約書を作成します。その後、購入意思の確認を示すものとして、引き渡しまでの間に買主から手付金を受け取り、諸手続きが完了後に、決済・引き渡しになります。 

 売買契約の流れと注意点

・売買契約書の作成 
売買契約書は不動産会社が重要事項説明書とセットで準備します。売買契約は、売主、買主に加えて不動産会社の担当者が会します。不動産会社や金融機関の応接室などでおこなわれるのが一般的で、場合によっては司法書士が同席することもあります。 

・重要事項説明 
重要事項説明は契約締結の前に、不動産の用途や条件などを読み上げ、互いに確認をする宅地建物取引業法で義務付けられている大事な手続きです。説明を聞いた上で、疑問点があれば、遠慮なく再説明を求めて、理解できるまでしっかりと確認をすることが大切です。ここを怠るとあとでトラブルになることが多いのでしっかり意識をして立ち会いましょう。 

・契約書への署名・捺印 
売買契約書には、不動産の要件や売買代金や支払い方法、引き渡し時期、契約解除の条件など、取引に関する具体的な内容が記載されています。内容に問題がなければ署名捺印をします。 

・手付金の受け取り 
契約書への署名捺印と同時に、買主から売主へ手付金が支払われます。 
 
売買契約は書面にて契約手続きをするため記録として残ります。この記録は法的な拘束力もあります。実際に裁判をする際にはこうした契約書面が根拠資料として活用されています。トラブルにつながらないよう、十分に納得した上で契約締結を進めましょう。 

 決済・引き渡しの準備と手順

物件の引き渡しは決済と同日中におこなわれます。また、所有権を売主から買主へと移す所有権移転登記の手続きも、同時に実施されます。所有権移転登記は買主側がおこなうことが一般的となっており、司法書士に手続きの代行を依頼することが多いです。 
また買主が住宅ローンを利用する場合は、融資の実行と同時に決済がおこなわれることが一般的です。 
売主は売却手続きの実施後、諸経費を差し引いた残代金の受け取りが完了し、不動産登記の申請がすんだら、物件の鍵や関係書類を買主に引き渡します。 

引き渡しでは、契約時に取り決めた明渡し状態で買主に不動産を引き渡す必要があります。そのため清掃や設備のチェック、残置物の処理などをすませましょう。居住中の場合は引き渡しの日までに引っ越しを完了させる必要がありますので、引き渡し日に合わせて準備を進めましょう。 

取引締結後に忘れずにおこなうこと

不動産売却は、売買代金の授受をおこなえば完了する、というわけではありません。引き渡し前後に書類の手続きが残っています。  

不動産登記の手続き

残代金の受領後、物件引き渡し前におこなう手続きのひとつです。不動産を所有している人が、買主に変更になるため、法務局で所有権移転登記の申請手続きをおこなうことが必要です。また売買時に売主の住宅ローンが残っている場合は、登記に付随した抵当権を抹消する必要があります。そのため抹消登記の申請手続きもおこないましょう。 
このような不動産登記手続きは売主自身での申請も可能ですが、売買手続きとあわせて司法書士に依頼するのが一般的です。通常、登記にかかる費用は、所有権移転登記については買主負担ですが、抵当権抹消登記の費用は売主負担になります。 

確定申告と税務処理

不動産売却により生じた利益は、譲渡所得といいます。この譲渡所得は、所得税や住民税の課税対象となります。引き渡し後に確定申告と税務処理をする必要があります。 

ただし、居住していた住宅を売却して得た譲渡所得については「3,000万円の特別控除」や「買い換えの特例」によって、税金が軽減される場合があります(一定の条件を満たす場合)。譲渡所得の確定申告をおこなう際は、利用できる特例があるかどうか、あらかじめチェックしておきましょう。 

 まとめ

不動産の売却は大きなお金が動く上に、多数のステップを踏みます。納得できる形で進めていくには、最新の情報を収集しながら、お金とスケジュールの計画を綿密に立て、信頼できる不動産会社と取引を進めていくことが大切です。今回の記事で紹介した流れを理解して、わからないことはさらに理解を深めていきましょう。 

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宅地建物取引士 永見薫
監修者
宅地建物取引士 永見薫
2005 年に大手デベロッパー系列である商業施設専門プロパティマネジメント会社に入社。商業施設の新規開発やリニューアル業務、施設運営業務に従事した。その後 2013 年に民間大手の不動産鑑定士事務所に転じ、主に一般不動産と投資用不動産の資産評価業務に従事。2023 年にフリーライターとして独立。不動産、地域や街づくりのテーマで、雑誌、Web などで実例取材やインタビューを中心に執筆を手がける。ほか、編集者・ブックライターとしても活動中。
【大阪ガス】Daigasコラム編集部
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【大阪ガス】Daigasコラム編集部
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