太陽光発電はマンションに導入できる?メリット・デメリットや補助金について解説
編集者:【大阪ガス】Daigasコラム編集部
「太陽光発電はマンションにも設置できる?」
「設置するメリット・デメリットが知りたい」
マンションの空きスペースを活用して、太陽光発電を設置したい人は多いでしょう。しかし、発電した電力の活用方法が分からず、導入に踏み切れない人も多いですよね。
本記事では、太陽光発電をマンションに設置するメリット・デメリットについて解説します。
また、太陽光発電をマンションに設置する方法や、導入時に活用できる補助金についても紹介するので、参考にしてください。
目次
太陽光発電をマンションに設置するメリット
屋根や屋上の空きスペースを有効活用できる

※画像はDaigasコラムが作成
マンションに太陽光パネルを設置すれば、空きスペースを有効活用できます。特に、屋根上や屋上、カーポート等のスペースを活用できるのは大きなメリットです。
マンションでの太陽光発電は、障害物による影の影響を受けにくいため、高い発電効率が期待できるのも嬉しいポイントです。
さらに、太陽光パネルを設置することで、建物への直射日光を抑制できます。紫外線による屋根材や塗料の劣化を防止できるため、建物の維持コストを長期的に削減できる点も魅力です。
共用部分の消費電力をまかなえる

※参考:全国家庭電化製品公正取引協議会
太陽光発電を導入すれば、マンションの共用部分で使用する電力を自家発電でまかなえます。エアコンや照明といった、常時稼働する設備の電気代を長期的に削減できる点は大きなメリットです。
例えば、共用部分で消費電力900Wのエアコンを24時間稼働すると、1ヶ月あたり648kWhの電力が必要です。1kWhあたり31円※1で換算すると、ひと月におよそ2万円の電気代がかかります。
マンションに発電容量5kWの設備を導入すれば、ひと月あたり約416kWh※2の電力を発電可能なため、購入電力量を大幅に削減できます。管理費・共益費を軽減できるため、入居者の負担を減らせるのも利点です。
※1 参考:全国家庭電化製品公正取引協議会
※2 参考:太陽光発電協会
売電収入を得られる

※参考:資源エネルギー庁
太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT)※を活用することで、一定期間余剰電力を固定価格で売却できます。発電容量が10kW未満の場合は10年間、10~50kWの場合は20年間、固定価格での売電が可能です。
例えば、発電容量5kWの設備を導入した場合、FIT適用期間中はひと月あたり約4,400円の売電収入が得られる計算です。設置する発電設備の容量に比例して、売電収入が増えるのも嬉しいポイントです。
※固定価格買取制度(FIT):電力会社が太陽光発電の余剰電力を一定期間固定価格で買い取ることを保証する制度
マンションの資産価値向上が見込める
太陽光発電をマンションに導入するメリットとして、資産価値の向上が見込める点も挙げられます。近年、省エネ性能の高い不動産の取引価格は、上昇傾向にあるためです。
ニッセイ基礎研究所※1の調査によると、新築マンションの環境性能評価※2が1ランク上がるごとに、価格が約4.7%高くなると示されています。
また、BELS※3等の第三者認定を取得すれば、築年数が経過してもマンションの資産価値が落ちづらい点もメリットです。
※1 参考:ニッセイ基礎研究所
※2 環境性能評価:戸建てやマンションの省エネルギー等に関する性能について、自治体が設定する基準に基づいて評価する制度
※3 BELS:建物の省エネルギー性能を第三者機関が評価する制度
非常用電源として活用できる
マンションに太陽光発電を設置すると、非常用電源として活用できます。災害時にも最低限の電力供給を確保できるため、防災対策として非常に効果的です。
合わせて蓄電池を導入すれば、夜間の災害・停電発生時にも電気が使えます。共用部分の非常灯や防災無線に電力を活用できるため、被災した入居者をサポートできるのがポイントです。
また、発電設備を導入すれば、防災対策が万全な物件として他マンションとの差別化を図れます。入居希望者からの評価向上にも繋がるのは、大きなメリットです。
節税効果を高められる
太陽光発電を設置すれば、節税効果を高められるのがメリットです。太陽光発電の設置費用は、減価償却費として経費計上できます。
また、発電設備のメンテナンス費用なども、必要経費として認められるケースがあります。家賃収入や余剰電力の売電収益を確保しながら、税金の負担を軽減できるのは大きな魅力です。
マンションへの発電設備設置を検討している人は、専門の設置業者に依頼しましょう。設置から運用まで、手厚いサポートを受けられます。
太陽光発電をマンションに設置するデメリット
全世帯への電力供給は難しい
マンションに太陽光発電を導入しても、全世帯に電力を供給するのは難しいのがデメリットです。複数世帯の電力消費量に対して、発電量が追いつかないからです。
例えば、発電容量5kWのパネルを設置した場合、1ヶ月に約416kW※1の電力を発電できます。しかし、集合住宅1世帯あたりの消費電力量はおよそ140~490kW※2のため、全戸への電力供給が難しいのが実情です。
さらに、各戸に電力を届けるには、配線工事やパワーコンディショナの設置も必要です。マンションの室数によっては、初期費用が大幅に増えるリスクもあります。
高額な初期費用が発生する
マンションへの太陽光発電導入には、高額な初期費用がかかります。資源エネルギー庁の調査によると、太陽光発電の平均設置費用は以下の通りです。
| 発電容量 | 導入費用 |
|---|---|
| 3kW | 85.8万円 |
| 4kW | 114.4万円 |
| 5kW | 143万円 |
| 6kW | 171.6万円 |
| 7kW | 200.2万円 |
※参考:資源エネルギー庁
太陽光発電は、発電容量の大きさに比例して導入費用が高額になります。さらに、蓄電池を併用すると、高額な初期費用が上乗せされる点にも留意が必要です。
安全性を考慮した設置場所の選定が必須

※参考:東京消防庁
マンションでの太陽光発電は、安全性を考慮した設置場所の選定が必須です。消防法上、屋根や屋上に太陽光発電を設置する際は、消防活動用通路の確保※が義務付けられています。
パネルの設置箇所は、火災発生時の消防活動を考慮して、消防活動用通路から24m以内に収める必要があります。また、変電設備や消火水槽が設置されている場合、設備から3~5mの間隔を確保しなければいけません。
太陽光発電を設置可能なスペースは、法律で厳しく制限されています。マンションの設置環境によっては、想定した発電量を確保できない可能性がある点には留意しておきましょう。
※参考:東京消防庁
メンテナンスに費用が掛かる
太陽光発電は、導入後も定期的なメンテナンスが必要です。設備の規模が大きくなるほど、維持管理コストが増えるのがデメリットです。
太陽光発電設備の点検は、1回あたり約4.1万円※の費用が掛かるとされています。加えて、中・高層マンションでの点検作業には工事用足場の設置が必要なため、高額な追加費用が発生する可能性があります。
また、長期間の運用を考慮すると、パワーコンディショナやパネルの交換・修理費用も見込む必要があります。太陽光発電を運用する際は、設置費用に加えてランニングコストも考慮しなければいけないのが難点です。
※参考:経済産業省
売電できる電力量に制限がある
マンションにおける太陽光発電は、売電できる電力量に制限があるのもデメリットのひとつです。発電容量が50kW以下の太陽光発電設備は、改正FIT法※において30%の自家消費実施が義務付けられています。
マンションに設置される発電設備の多くは、50kW未満の小規模太陽光に該当します。発電した電力をすべて売電に回すことはできないため、一定量はマンション内で自家消費しなければいけません。
効率的な自家消費を実現するためには、蓄電池の導入や共用部分への電力供給といった、運用プランの策定が必要です。
※参考:資源エネルギー庁
分譲マンションの場合入居者の同意が必要
分譲マンションに太陽光発電を設置する場合、入居者の同意が必要です。分譲マンションの屋上を工事する際は、区分所有法※において、管理組合の4分の3以上の賛成が必要とされています。
設備の導入には理事会への提案や、管理組合総会での決議を経る必要があるため、設置を希望してもすぐに着工できるとは限らないのが難点です。
太陽光発電をマンションに設置したい人は、あらかじめ専門家に相談しましょう。専門家の協力を仰ぎ、入居者に丁寧な事前説明を実施すれば、工事までスムーズに進められます。
※区分所有法:1棟の建物・敷地を区分して所有する場合の、所有関係や共同管理について定めた法律
太陽光発電をマンションに設置する方法
太陽光発電をマンションに設置する場合、所有形態によって設置手順が若干異なります。
本項では、太陽光発電を賃貸・分譲マンションに後付けする方法や、新築マンションに設備を設置する方法について解説します。
賃貸マンションに太陽光発電を設置する方法
- 設置費用について検討する
- 設置業者を選定して見積もりを取る
- 入居者に対する事前説明を実施する
- 補助金を申請する
- 発電設備の設置工事を実施する
賃貸マンションでは、オーナーの判断で太陽光発電システムを導入できます。設置にあたり入居者の同意は不要ですが、工事前に騒音や停電のリスクを説明しておくと安心です。
まずは複数の専門業者に相談して、建物構造や屋根の傾斜、日照条件に合った導入プランの提案を受けましょう。
見積もりを比較して、発電容量や保証内容を詳しく確認すると費用対効果を高められます。
分譲マンションに太陽光発電を設置する方法
- 理事会で太陽光発電の導入を発案する
- 設置費用について検討する
- 設置業者を選定して見積もりを取る
- 管理組合総会で決議を取る
- 補助金を申請する
- 発電設備の設置工事を実施する
分譲マンションの共用部に太陽光発電を導入するには、管理組合総会での決議が不可欠です。区分所有法に基づき、管理組合の4分の3以上の賛成を得る必要があります。
分譲マンションのオーナーは、理事会で導入案を発案し、設置業者の選定・見積もり算出を進めます。設置業者の検討・業者選定の後、管理組合総会で決議を取ります。
決議後は補助金を申請し、設置工事を進めます。補助金申請時に議事録の提出が求められるケースがあるため、総会の記録は必ず保管しておきましょう。
※参考:東京都マンションポータルサイト
新築マンションに太陽光発電を設置する方法
- マンションの設計段階で導入計画を立てる
- 設備の配置や配線について建築士に相談する
- 補助金の申請期間を確認する
- 設置業者を選定して見積もりを取る
- マンションの建設と並行して設置工事を進める
新築マンションでは、設計段階から太陽光発電設備を組み込むことが可能です。建設工事と並行して、発電設備の設置を進められます。
新築マンションへの太陽光発電導入は、導入したい設備に合わせて、建物の形状や配線ルートを最適化できるのが大きなメリットです。
発電設備の管理やメンテナンスについては、管理組合に引き継がれるケースがあります。あらかじめ管理規約に取り扱いルールを明記しておくと、運用トラブルを防げます。
太陽光発電を設置しやすいマンションの特徴
日当たりが良好な中層マンション
日当たりが良好な中層マンションは、太陽光発電を設置しやすいマンションの特徴のひとつです。周囲の建物から日当たりを遮られにくいため、安定した発電量を確保できます。
特に、マンションに4~5階以上の高さがあれば、近隣の建物による影響をほとんど受けません。中層マンションの広い屋上や共用部分を活用すれば、効率的な配置が可能になります。
東京都住宅政策本部※では、過去に5~9階建てのマンションにおける太陽光発電の導入事例が公開されています。運用事例を踏まえると、中層マンションでも問題なく太陽光発電を運用できると考えて良いでしょう。
※参考:東京都マンションポータルサイト
屋根に傾斜があるマンション

※画像はDaigasコラムが作成
屋根に傾斜のあるマンションは、太陽光発電との相性が良好です。雨天時の排水経路を確保しつつ、発電効率を最適化できます。
太陽光発電において、発電効率を最大化するパネルの角度は30°※とされています。特に、切妻屋根や片流れ屋根のマンションは、既存の屋根形状を活かして発電設備を設置可能です。
一方、陸屋根や屋上といった平坦な場所に設置する場合は、パネルの角度調整や排水対策が別途必要となります。
※参考:太陽光発電協会
新築・既築の賃貸マンション
新築・既築の賃貸マンションは、太陽光発電の設置に適しています。分譲マンションと異なり、物件所有者の判断で設備導入を決定できるからです。
新築であれば、設計段階から屋根構造や配線ルートを考慮した設備導入が可能です。既築物件の場合でも、構造次第で適切な位置に後付け設置ができます。
ただし、マンションの立地や設計に応じて、太陽光発電の最適な設備構成は異なります。導入を検討する際は、施工経験のある専門業者へ相談し、導入プランの提案を受けるのがおすすめです。
太陽光発電のマンション設置に活用できる補助金
| 補助金 | 提供地域 | 補助金額 |
|---|---|---|
| 豊島区エコ住宅 普及促進費用助成金 |
東京都豊島区 | 発電容量 1kWあたり2万円 (上限8万円) |
| 新宿区省エネルギー及び 創エネルギー機器等 補助制度 |
東京都新宿区 | 発電容量 1kWあたり10万円 (上限30万円) |
| 地球温暖化防止 設備導入助成 |
東京都江東区 | 発電容量 1kWあたり5万円 (上限150万円) |
| 神奈川県共同住宅用 自家消費型太陽光発電等 導入費補助金 |
神奈川県 | 発電容量 1kWあたり7万円 |
| 雪国長岡での 再エネ導入促進補助金 |
新潟県長岡市 | 発電容量 1kWあたり7万円 (上限35万円) |
※参考:各都道府県・市区町村公式サイト
国や地方自治体では、マンション共用部分への太陽光発電設置を対象とした、補助金制度が展開されています。補助金制度を活用すれば、発電設備の初期費用を大幅に抑えることが可能です。
太陽光発電の各補助金制度は、それぞれ申請時期や対象要件が細かく定められています。手続きの順序や申請のタイミングを誤ると、補助金が交付されない可能性があるため、必ず各自治体の公式サイトを確認しましょう。
設置業者によっては、補助金の申請代行サービスを実施しているケースがあります。補助金をスムーズに取得したい人は、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
まとめ:太陽光発電はマンションにも設置できる
太陽光発電は、マンションの屋根や屋上といった空きスペースに設置できます。発電設備を導入すれば、共用部分の電気代削減や災害時の非常用電源を確保できるのがメリットです。
一方、初期費用やメンテナンス費用が高額になりやすく、設置場所に制限がある点はデメリットです。また、管理形態によっては、入居者の同意を得る必要があります。
マンションへの太陽光発電設置を検討している人は、専門業者に相談するのがおすすめです。入居者への説明や補助金申請に関するサポートを受けられます。
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